さまざまな環境・社会課題を解決していくうえで、金融機関の役割は大きいと考えており、SBI新生銀行グループでは、サステナビリティ経営を、「事業を通じた環境・社会・お客さまへの長期的な貢献」と「当行グループの持続的な成長」との好循環を目指すことと定義しています。「好循環」とは、私たちが環境・社会・お客さまの持続可能性向上に貢献するようなビジネス、いわゆる「事業」を通じて、お客さまや世の中から支持していただき、それにより当行グループが成長し、成長した当行グループがさらに世の中に貢献していく、という循環です。
さまざまな課題解決に取り組むお客さま、あるいは課題をかかえるお客さまに向けて、総合金融グループならではの機能とノウハウを活かし、金融の力で新たな価値を生み出してまいります。

1. サステナブルファイナンスの拡充

2020年2月に「サステナブルインパクト評価室」を新設し、自行内でサステナブルファイナンスの評価を行う体制を構築しました。「2030年度までにサステナブルファイナンスを累計5兆円組成」という目標を掲げ、グリーンローン、ソーシャルローン、ポジティブ・インパクト・ファイナンスなどの組成に取り組むほか、ヘルスケア領域へのリースやZEHファンド、住宅用ソーラーローンなど、グループ一体となってサステナブルファイナンスを積極的に推進しています。脱炭素社会の実現に向けたGXの取り組みにおいては、温室効果ガス排出量の多い企業を金融面から支えると同時に、脱炭素化を支援していくことが不可欠であると考え、部署間横断のトランジション・タスクフォースを組成し、お客さまとの対話を進めるとともに、地域金融機関の皆さまとも協調しながらトランジション・リンク・ローンの実行に取り組んでいます。そのほか、パートナー企業と協働してお客さまのCO2排出量の可視化や削減を支援するなど、非金融領域での課題解決支援も行っております。

2. 個人のお客さま向け商品・サービス

グループ全体で「顧客中心主義」を徹底し、金融サービスへのアクセス向上や金融リテラシーの普及促進に努めるほか、お客さま本位の業務運営に関する取組方針およびアクションプランを制定、公表しています。また、お預かりした資金を環境・社会課題の解決に取り組むプロジェクトに融資する「サステナビリティ預金」や、環境配慮型住宅(ZEH等)への住宅ローン優遇金利プログラム、同性パートナーとの住宅ローン申込受付、太陽光パネルのクレジットやリース、在留外国人向けのマイカーローンなど、お客さまが環境・社会課題解決に関与できる、または、お客さまご自身の課題解決につながる商品・サービスを提供しています。

3. ステークホルダーとの協働

サステナビリティの取り組みにあたっては、ステークホルダーの皆さまとの協働が不可欠です。サステナビリティを考えるうえで、地域の中核となる地域金融機関の皆さまとの取り組みは重要な活動のひとつで、単独では限界のある規模のサステナブルファイナンスを協調融資で行うほか、人材交流や研修実施を通じて地域金融機関におけるサステナビリティ推進の支援を行うなど、相互の強みと特徴を活かし、環境・社会課題をともに解決していく取り組みを行っていきます。

4. 人材価値の向上

私たちは、人材が最も重要な資本であると考え、人材価値の向上を重点課題のひとつとしております。従業者が有する能力を最大限発揮し、ともに成長を続けられるよう、研修・OJTなどを通じた学びの機会の提供、人事ローテーション、グループ内公募等のキャリア形成に資する環境整備を進めていきます。ダイバーシティ&インクルージョンの活動も積極的に行い社内啓発に取り組んでいるほか、多様な人材を受け入れ、それぞれがライフステージやライフイベントに応じて柔軟で効率的な働き方を選択しながら業務を通じて成長するための、制度・風土づくりを進めていきます。

5. サステナビリティ経営の推進に向けて

サステナビリティ経営の推進においては、社長をはじめとした経営陣が参画するグループサステナビリティ委員会で、グループとしての方向性の確認や具体的な成果の報告を行いつつ、シニアサステナビリティオフィサー、および2名のサステナビリティオフィサーと連携して、グループ全体を巻き込んだ活動をしています。取締役会にも重要事項の付議や定期的な報告を行い、アドバイスや示唆をいただきながら、取り組みを進めています。

 

「公益は私益に繋がる」 ― SBIグループの創業時からの理念は、サステナビリティ経営の考え方と軌を一にするものです。SBI新生銀行グループは、SBIグループの中核銀行グループとして、環境・社会課題の解決を経営の最重要課題のひとつととらえ、サステナビリティ経営をグループ一体となって積極的に推進します。数十年先を見据え、ステークホルダーの皆さまに真摯に向き合う取り組みを行い、「事業を通じた環境・社会・お客さまへの長期的な貢献」と「当行グループの持続的な成長」との好循環を実現することで、社会から信頼され、必要とされ、成長していく、持続的な企業価値の向上を実現する総合金融グループを目指してまいります。

 

2024年8月

執行役員 グループ海外事業統括部長
兼 グループ経営企画担当
藤木 康寛